赤ちゃんの歯は生まれてから生えてくるものですが、その元となる「歯胚（しはい）」は、お母さんのおなかの中にいるときから作られ始めます。

妊娠中の栄養や環境が赤ちゃんの歯の発育に影響するため、妊娠期のケアが重要です。

この記事では、赤ちゃんの歯がどのように作られるのか、歯胚ができるタイミングや成長の流れについて詳しく解説します。

■ 歯のもと「歯胚」ができるタイミング

・妊娠7〜10週頃：歯胚ができる

妊娠7週目頃になると、歯胚と呼ばれる歯の芽ができます。

歯胚は、歯のエナメル質、象牙質、歯髄などを形成するもとになる重要な組織です。

この時期から、乳歯の歯胚が順番に作られ始めます。

・妊娠4ヵ月～5ヵ月頃：歯の硬組織ができ始める

歯胚が成長すると、歯を覆うエナメル質や象牙質が作られ始めます。

妊娠4ヵ月〜5ヵ月頃には、エナメル芽細胞と象牙芽細胞が活発に働き、歯の硬組織が少しずつ形成されていきます。

この過程を石灰化といい、歯の成長にとって欠かせない段階です。

石灰化が順調に進むことで、生後にしっかりした乳歯が生える準備が整います。

乳歯の形成が進む一方で、妊娠4ヵ月～5ヵ月頃からは永久歯の歯胚も作られ始めます。

永久歯の石灰化は乳歯よりもゆっくり進みますが、妊娠中の栄養状態や環境によってその成長に影響を受けることがあります。

特にカルシウムやリン、ビタミンDが不足すると、歯の石灰化が不十分になる可能性があります。

■ 妊娠中の栄養と赤ちゃんの歯の発育

・カルシウムとリン

歯の主成分となるカルシウムとリンは、妊娠中に特に意識して摂取する必要があります。

これらのミネラルは、歯や骨の発育に欠かせないため、不足すると歯の石灰化が不完全になり、弱い歯になってしまう可能性があります。

牛乳や乳製品、小魚、大豆製品などを積極的に摂るのがおすすめです。

・ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムとリンの吸収を助ける重要な栄養素です。

妊娠中に十分なビタミンDを摂取することで、赤ちゃんの歯の発育をサポートできます。

日光を浴びることで体内で生成されるため、適度な日光浴も大切です。

また、魚類や卵などの食品からも摂取できます。

・ビタミンA

ビタミンAは、エナメル質や象牙質の形成に関わる栄養素です。

特に歯の発育が始まる妊娠初期に欠かせません。

不足すると歯の形成不全やむし歯のリスクが高まる可能性があります。

ただし、ビタミンAの過剰摂取は赤ちゃんに悪影響を及ぼすことがあるため、サプリなどを摂取している場合は摂取量には注意が必要です。

適量の緑黄色野菜や卵黄などから摂取するのが望ましいとされています。

・ビタミンC

ビタミンCは、歯を支える歯肉や歯槽骨の健康を保つのに重要な栄養素です。

コラーゲンの生成に関与するため、歯肉を丈夫にし、歯がしっかりと生える環境を整えます。

レモン、キウイ、ピーマンなどに多く含まれています。

・たんぱく質

歯の基礎を作るコラーゲンの生成には、良質なたんぱく質が必要です。

肉や魚、卵、大豆製品などをバランスよく摂取することで、歯や骨の成長を助けることができます。

■ 妊娠中の注意点と歯の発育への影響

・風疹や高熱に注意

妊娠中に風疹や高熱を伴う感染症にかかると、赤ちゃんの歯の形成不全や歯の石灰化不全のリスクが高まります

特に妊娠初期に風疹ウイルスに感染すると、歯の形成が妨げられることがあるため、予防接種や感染予防に注意しましょう。

・喫煙やアルコール摂取の影響

妊娠中の喫煙やアルコール摂取は、赤ちゃんの歯の発育に悪影響を及ぼします。

特にニコチンやアルコールは胎盤を通じて赤ちゃんに影響し、歯の石灰化不全や小さな歯になる原因になることが報告されています。

妊娠が分かった時点で、禁煙・禁酒を心がけることが大切です。

■まとめ

赤ちゃんの歯は、お母さんのおなかの中にいる間にその基礎が作られます。

妊娠7週頃から歯のもととなる歯胚が形成され、4ヵ月〜5ヵ月頃にはエナメル質や象牙質が作られ始めます。

そのため、妊娠中の栄養管理や健康管理が、赤ちゃんの丈夫な歯の成長に直結します。

カルシウムやビタミン、たんぱく質をしっかり摂取し、感染症や生活習慣に気をつけることが大切です。

お母さんの意識次第で、赤ちゃんが一生使う歯の土台をしっかり整えることができます。

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