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COLUMN 医療コラム

目に見えないからこそ!歯科医院の滅菌・消毒事情

  • 歯科治療の安全性

監修歯科医師

鹿児島明和院

社本 光央 先生

社本 光央 先生

歯科医院=安全な治療ができるとは限らない…?


もしもお口の健康を守り維持する歯科医院が、滅菌・消毒をしっかりと行っていないとしたら…?清潔でないどころか別の病気に感染する場合もあり、考えただけでもゾッとする話ですよね。しかし、決してありえないとは言えないのです。そこで今回の「ママとこどものはいしゃさん」ポータルサイトブログでは、日本や諸外国の歯科医院における滅菌・消毒事情について、紹介します。

日本の歯科医院における滅菌・消毒事情とは


数年前日本では、歯を削るドリル(ハンドピース)が多くの歯科医院で使い回されている状態だと報道され、問題になりました。治療時に使用する歯を削るドリルは、構造上の理由から患者様の血液やだ液を吸い込んでしまいます。これを滅菌・消毒せずに使い回すということは、前の患者様の血液やだ液が次の患者様のお口に放出されるということです。もしも前の患者様がB型肝炎やHIVなど何らかの病気を患っていたとすれば…細菌やウイルスは身体に侵入し感染症を引き起こしてしまうため、不衛生なだけでなく非常に危険だといえるでしょう。その後日本では世界基準の滅菌・消毒手法を採用する歯科医院が少しずつ増えていますが莫大なコストと手間がかかるため、全ての歯科医院で行われていないのが、現実です。

滅菌・消毒事情【中国】


「中国より日本の衛生状態の方が良さそう」と考えている方は、多いのではないでしょうか。しかし中国都市群の歯科医院は、どんなにコストと手間がかかっても器具の滅菌・消毒を実施するのは当たり前だとされています。実は中国では行政が抜き打ち検査を実施し、器具の滅菌・消毒や安全対策について調査。一定の基準を満たしていない場合、医業の停止や資格の取り消しなどペナルティーを受けるため、どこの歯科医院でもきちんと滅菌・消毒を実施しているのです。

滅菌・消毒事情【アメリカ】


使い回しや滅菌について、日本では法律で規制されていません。しかしアメリカでは医療器具の滅菌が、法律で義務づけられています。また、アメリカには保険診療制度がありません。そのため1日の診察数は10人未満と、ゆったりした診療体系が整っています。日本の場合、1日で30人近くの患者様を治療しなければ歯科経営として成り立たたず器具の滅菌・消毒までなかなか手が回らないとの事情も。しかし、器具の滅菌を法で定め、ゆったりと滅菌できる環境にあるアメリカであっても、残念ながら院内感染はおきています。オクラホマ州の歯科医院では複数の患者様に対して器具を使い回した結果、治療を受けた患者様にHIVとC型肝炎ウイルスが感染。アメリカ中に衝撃が走りました。また、1990年代には近所の歯科医院で治療を受けた女性がHIVに感染しエイズを発症したとの事件も。当時は「歯科治療でHIVの院内感染が起きるなんてありえない。歯科医師の故意では?」などの憶測もありましたが、現在では医療器具の滅菌・消毒が不十分だったため院内感染したことがわかっています。

一度注目を!滅菌・消毒の実施


歯科医院を選ぶ際、治療内容や通いやすさをチェックする方は多いでしょう。しかし、治療器具の滅菌・消毒は気にしていますか?安心できる治療を受けるためにも、ホームページやパンフレットに一度目を通してみてはいかがでしょう。次回の「ママとこどものはいしゃさん」ポータルサイトブログも、お楽しみに!
社本 光央 先生

監修歯科医師

鹿児島明和院

社本 光央 先生

しゃもとデンタルクリニック
〒890-0024 鹿児島県鹿児島市明和1丁目25-1 ファミリープラザめいわ1F

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