リップバンパーって何のための装置?
- 小児矯正
監修歯科医師
京橋院
福原 隆久 先生
小児矯正では、ケースに応じていろいろな装置を用いることがあります。拡大床やリンガルアーチ、ヘッドギアやチンキャップなどの矯正装置は、おそらく皆さんもご存知のことでしょう。これらは上下の顎の発育をバランスよく進ませるために使用する装置です。では、「リップバンパー」という装置についてはどうでしょうか?
▼リップバンパーとは?
リップバンパーとは、唇による圧力が強く、前歯が後ろの方へ傾いてしまっている症例に適応される症例です。リップ(唇)からの圧力を専用のバンパーによって抑えることによって、前歯の歯並びが悪くなるのを防ぎます。それに加えて、リップバンパーには重要な作用も期待できます。それは奥歯を奥の方へと押しやる作用です。
▼奥歯を奥へと移動させることのメリット
歯並びが悪くなる原因は、主にスペースの不足に由来しています。顎の幅や長さが足りないせいで、親知らずを含めた32本の歯をきれいに並べることができなくなり、さまざまな歯列不正を引き起こすのです。その際、奥歯の位置というのが極めて重要となってきます。
例えば、奥歯を奥の方へと移動することができれば、前方にスペースの余裕が生まれますよね。すると、便宜抜歯を行わずとも、歯並びをきれいに整えることも可能となるのです。そんな奥歯の移動を可能にするのがリップバンパーの作用といえます。
▼唇からの圧力を奥歯へと伝える
リップバンパーは、単に唇や口輪筋からの圧力を防ぐだけでなく、その力を奥歯へと伝えて、奥の方へ動かす作用が期待できます。これは矯正治療を行う上で、非常に有益な効果といえます。専門的には「大臼歯の遠心移動」と呼ばれるこの作用は、通常の矯正法ではなかなか効率よく行えないのが現実です。それだけにリップバンパーを用いた矯正治療を受けることは、お子さまにとってメリットの大きなものだといえます。
▼リップバンパーを使わないとどうなるの?
口唇や口輪筋からの圧力が強い症例では、何も施術をせず放置することで、「前歯の舌側傾斜」という現象が起こります。わかりやすくいうと、前歯がお口の奥の方に傾いてしまい、歯列全体を乱すこととなるのです。そのため、リップバンパーが必要となるような症例で治療を受けずそのまま放置するということは、基本的におすすめすることはできないのです。
▼まとめ
このように、リップバンパーを使用することで、唇や口輪筋からの圧力を逃がすことができるだけではなく、それを奥歯に伝えてスペースを確保することも可能となります。そんなリップバンパーによる小児矯正に興味のある方は、「ママとこどものはいしゃさん」の加盟院までお気軽にご相談ください。
「ママとこどものはいしゃさん」加盟院の検索はこちら
/search/