虫歯の母子感染とは?
- 予防
監修歯科医師
西新井院
高梨 祐介 先生
全身の病気には、母親から子どもへと病気が広がる「母子感染」というものがありますよね。まだお子さまがお母さまのお腹の中にいる時期に生じるものもあれば、出産後に生じるものもあります。そんな母子感染は、虫歯でも起こりうることをご存知でしょうか?今回は、虫歯菌の母子感染について解説していきます。
赤ちゃんに感染させないために
生まれてくる赤ちゃんの歯を守るには、出産前にお母さんを含む家族みんなのお口の中から虫歯菌を減らすことがとても大切です。生えたてのやわらかな乳歯は虫歯菌の大好物、もし虫歯になってしまったら他の歯に虫歯が広がってしまう可能性があります。生まれてくる赤ちゃんの歯を守り育てるために、妊娠中のお母さん、ご家族みんなでお口をきれいな状態にしておきましょう。「ママとこどものはいしゃさん」加盟院では、お母さんのお口の菌の状態を簡単にお調べすることができます。まずは今の状態を正しく知るということが大切ですね。
赤ちゃんに虫歯菌は存在しない?
生まれたばかりの赤ちゃんには虫歯菌は存在しません。虫歯菌は唾液によって感染していきます。お子さんやお父さん、お母さんなどご家族と同じ箸やスプーンなどを使ったり、咬み与えなどをすると感染の原因になります。一度虫歯菌が定着してしまうとお口の中に存在する虫歯菌により他の歯やいずれ生えてくる永久歯も虫歯になる可能性が高くなります。特に1歳半〜3歳までの間は母子感染しやすく、感染の窓と言われています。虫歯の原因菌であるミュータンス菌に感染する時期が遅ければ遅いほどお子さまの虫歯予防につながります。小学校に上がるころに生えてくる奥歯の永久歯<6歳臼歯といわれる永久歯>を虫歯にしないことが虫歯予防の要になります。
乳歯の役割(乳歯の虫歯治療の重要性について)
乳歯は、生後6カ月ごろから生えはじめ、2~3歳までに上下左右で20本が生えそろいます。食べ物を咀嚼し、正しい発音をするために大切な役割を担う乳歯は、お子様のあごの骨の成長を促進したり、顔の形を整える役割も持っています。乳歯の役割は大きく分けて3つあります。
1.食べ物を咬む
よく咬むことで必要な栄養を効率よく吸収することにつながるとても大切な役割を持っています。また咬むという動作は、脳の発達にも役立つと言われています。
2.発音
幼児期はたくさんの言葉を覚えていく時期です。この時期に歯が健康であることで正しくきれいな発音が可能となります。
3.永久歯の誘導
乳歯から永久歯に生え変わる時期には、乳歯の根は吸収されて次に生えてくる永久歯を誘導します。虫歯などで乳歯を早期に失うと、後から生えてくる永久歯がきちんと生えてこなくなることがあります。
乳歯の時点でお口の中を粗末にしていると、、、
・咀嚼障害 ⇒ うまく食べられない、偏食の原因となる
・発音障害 ⇒ うまく話せない 特にさ行など幼児的な話し方から卒業できなくなる
・不正咬合、あごの成長異常 ⇒ 永久歯の歯並び、顔や体の不調
などの症状を引き起こします。また、永久歯の虫歯や歯肉炎の原因になります。
まとめ
このように、むし歯は感染症の一種であり、いわゆる母子感染のリスクのある病気ですので、ご家族全員で感染を広げないよう努力することが大切です。むし歯の母子感染についてさらに詳しく知りたい方は「ママとこどものはいしゃさん」の加盟院までお気軽にご相談ください。
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