1. ホーム  > 
  2. 医療コラム

COLUMN 医療コラム

子どもの歯の外傷は「折れる」より「抜ける」方が多い?

  • 歯科トピックス

監修歯科医師

西新井院

高梨 祐介 先生

高梨 祐介 先生


小さなお子さまは元気に動き回ることが多く、室内や道端で転倒することも珍しくありませんよね。とくに男の子は元気が良いので、擦り傷や切り傷などが絶えないことかと思います。そうした転倒などのトラブルの際に、顔面を強打すると歯が折れたり抜けたりすることがあります。これはお口の健康にとって非常に深刻なものなので、可能な限り避けなければならないといえます。今回はそんな歯の外傷に伴う破折や脱臼について詳しく解説します。

子どもの転倒事故


歩けるようになり活動範囲が増え、行動が活発になってくると、歯自体が抜けてしまうするような怪我や歯が欠けたり半分埋まってしまう脱臼などをしやすい時期になります。1~3歳頃はつたい歩きや一人歩きができるようになりますが、まだ歩行が不安定で保育園や幼稚園でお友達同士でぶつかったり、また転倒したり等で乳歯の怪我が増えやすい時期です。
一方、小学校に通う時期になると、遊具や高い場所からの転倒、友達とのふざけ合いによる休み時間や放課後の事故などが増え、歯が欠ける場合が多くなります。転倒をくりかえすお子さんの場合、子どもロコモが疑われる場合があります。

子どものロコモとは?


ロコモ(ロコモティブシンドローム)とは高齢の方のが年齢とともに骨や関節などの「運動器」の働きがおとろえて、立つ・歩くといった移動する動きがしにくくなった状態のことをいいます。これらと同様の症状が子ども年代で生じることを「子どもロコモ」と言います。
主な原因としては、生活習慣や日常の動作にあり体を動かさないでいると筋肉や関節がかたくなってしまい、転んだ時にバランスがとれなかったり、手がすぐに出なかったりすることで上手に転べないなどが原因で歯の破折や脱臼につながってしまっている場合が多いという報告もあります。

子供が歯を怪我してしまった時の対処・治療方法について


1,歯が折れた・欠けた場合


歯を破折した場合は、それが歯の中央にある神経<歯髄>にまで及んでいるかどうかで、治療が変わってきます。先端が少し欠けたのみで、神経に影響がない場合は、欠けた歯を樹脂で元の形に修復することが可能です。
一方、歯が大きく折れてしまい折れた面にピンク色が透けて見えていたり、出血したりしている場合は、神経の治療をしてから歯の形を修復します。この場合、治療が早ければ早いほど成功率が高くなるので、できるだけ時間や日をおかず、早く歯科医を受診することが大切です。
また、破折した歯の破片は修復でもとに戻せる場合もあるので、見つけた場合は持参ください。持参する際は、乾燥させないように牛乳(牛乳アレルギーの場合は注意です)もしくは生理食塩水に浸して持っていきましょう。ちなみに薬局では歯牙保存液も販売されています。

2,歯がグラグラしている場合


歯がグラついたり位置がズレたりすることを、歯の「脱臼」、歯ぐきの中に陥入した状態を「埋入」と言います。動いている歯が乳歯の生え変わりの時期であれば、ほとんどの場合は治療の必要性はありません。しかし、生え変わりまでにまだ時間がかかる乳歯や永久歯の場合は、治療が必要です。脱臼した歯をそのままの状態にして、できるだけ早く歯科医院に連絡をしましょう。
歯科医院では、状態を確認し、歯を元の位置に戻してから歯を固定し、歯茎や根の組織が回復するのを待ちます。症状により異なりますが、最低でも数週間から数か月前後は固定し、その間は歯を安静にすることと、清潔に保つことが大切です。

3,歯が抜けてしまった場合


歯を強打すると歯が完全に抜けてしまうことがありますが、歯の根の周りにある「歯根膜」が生きているうちに、治療をすることが必要です。歯根膜は、歯の根のまわりについている薄い膜で、歯と骨をつなぐ役割を果たします。抜けた歯の根を清潔に保ち、乾燥させないように牛乳(牛乳アレルギーの場合は絶対にしないでください)か生理食塩水に浸した状態にして、早急に歯科医院に連絡をしてください。また、歯根膜はデリケートなので、土などがついていても抜けた歯の根にはできるだけ触れないことも重要です。

▼まとめ


いずれにせよ、そうしたトラブルが発生したらすぐに「ママとこどものはいしゃさん」の加盟院までご連絡ください。お口の状態を拝見して、適切な処置を施します。

「ママとこどものはいしゃさん」加盟院の検索はこちら
高梨 祐介 先生

監修歯科医師

西新井院

高梨 祐介 先生

あさひ歯科
〒123-0845 東京都西新井本町1-17-38 長谷川ビル1F

この記事をシェアする