お子さまに対しての笑気麻酔について
- 歯科治療の安全性
監修歯科医師
西新井院
高梨 祐介 先生
〇笑気麻酔とは
小児歯科で使用されることのある笑気麻酔(しょうきますい)は、亜酸化窒素からなる笑気ガスを吸い込むことで、緊張や恐怖心が和らぎ、リラックスした状態で治療を受けられるというものです。
笑気ガスとは、吸うとリラックスした状態になる「亜酸化窒素」という気体のことで、笑気麻酔では、低濃度の亜酸化窒素と医療用酸素を混合して使います。薄い笑気ガス(酸素70%、笑気30%)を吸ってもらい、リラックスした状態で治療を受けられる方法。 声をかけても返事ができる状態です。 あくまでも鎮静法であり、麻酔ではありません。
笑気麻酔の使用は日本でも100年以上の歴史があり、抜歯などに利用されてきました。歯科の分野に限らず、眼科の手術などにも使われています。
〇笑気麻酔の特徴
笑気麻酔の特徴として、
・お子様でも使用できる
・治療が怖い・苦手という人もリラックスして治療を受けられる
・歯科医院の中にいるときの恐怖感、器具の振動が気にならなくなる
・リラックスしているので治療時間が短く感じられる
・注射や治療の痛みが軽減される
・高濃度酸素、笑気は低濃度で安心・安全性が高い【笑気ガス30%以下・酸素70%以上で使用】
などが挙げられます。
笑気麻酔はお子様でも使用でき、マスクを鼻の上に乗せ、鼻呼吸をするのみです。
治療が怖い・苦手という場合でも、笑気麻酔の鎮静作用により、恐怖心が低減し、リラックスできます。
そのため、歯を削る振動や歯科医院の中にいる不安感なども気にならず、リラックスした状態で治療を受けてもらえるので、治療の安全性も高まります。
〇笑気麻酔のメリット
笑気麻酔のメリットは、リラックスして安全な治療を受けていただけることです。
特に、恐怖心が強いお子様の治療においては、偶発症を予防し、治療を楽に受けられるという大きなメリットがあります。
「器具を口に入れただけで吐き気がする」というお子様でも、不快感なく、落ち着いて治療を受けられます。
また、笑気吸入鎮静法は、笑気ガスの使用も低濃度であり、体外への排出も早いので、安全性の高い方法です。
マスクを鼻の上にのせて、鼻で笑気ガスを吸い込むだけで、お子様への負担も少ないです。 むやみにお子様を押さえつけて治療する必要もありません。
〇笑気麻酔の副作用
笑気麻酔は毒性がないため、副作用がほとんどありません。
速やかに体外へ排出される笑気ガスは、副作用が少ないだけでなく処置後の回復が早いのも特長です。
肺や心臓などへの負担もないため、多くの患者様がご使用になれます。
笑気麻酔自体に痛みをなくす効果はありません。緊張を和らげる効果があるので、注射の麻酔に対する恐怖心なども低減するので患者様の心身の負担を減らすことができます。
また、笑気麻酔は鼻から吸入する無毒な気体なので、小さなお子様の使用も問題ありません。
〇治療は誰でも受けられるのか
基本的には鼻呼吸ができる方の多くは笑気麻酔をご使用になられます。
ただし、次のような方は笑気麻酔を使えなかったり、効果が出にくかったりするためお勧めいたしません。
・数か月以内に眼科手術を受けた方
・耳鼻科に通院中の方
・鼻呼吸が困難な状態の方(アレルギー性鼻炎、花粉症、鼻詰まりなど)
・妊娠中または授乳中の方
・喘息や気胸など、呼吸系循環器系疾患がある方
・パニック障害や過換気症候群(過呼吸)がある方
・てんかんの既往がある方
・肺閉塞や腸閉塞のある方
まとめ
緊張や恐怖心が和らぎ、リラックスした状態で治療を受けられる笑気麻酔ですが、現状、設備を整えている医院が多くはありません。
ご希望される場合は主治医の先生にご相談したり、ママとこどものはいしゃさんの加盟院で設備を完備している歯科医院にお尋ねください。
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