放置するのは危険?乳歯のむし歯が及ぼす悪影響とは?
- 予防
監修歯科医師
神戸住吉院
中村 元 先生
乳歯というのは、永久歯よりも軽視されがちです。
例えば、お子さまの歯にちょっとした「う窩(むし歯によって生じた穴)」が認められても、「もうすぐ大人の歯と生え変わるから」と放置してしまうケースは意外に多いものです。
けれども、基本的に乳歯のむし歯を放置することはとても危険なことだといえます。
今回は、乳歯のむし歯を放置しておいた場合に起きるトラブルについてお伝えしていきます。
▼乳歯の早期脱落により歯並びが悪くなる
乳歯のむし歯を放置して、本来よりも早い時期に抜け落ちてしまったら、「歯列不正」や「永久歯の萌出遅延」を引き起こすことがあります。
乳歯が早く抜け落ちることでなぜ歯並びの異常である歯列不正につながるの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そこにはしっかりとした理由があるのです。
・歯列内の欠損を埋めるように歯が移動する
本来生え変わる時期よりも早く歯が抜けてしまった場合に、抜けてしまったスペースに向かって左右の歯が動いてしまいます。
例えば、子どもの前歯である「乳中切歯」が本来よりも1年早く抜け落ちてしまった場合、大人の前歯である「中切歯」が生えてくるまでの1年以上は、歯並びの中に隙間が生じることとなります。
そうした歯列内の欠損が生じていると、両隣の歯やもともとかみ合っていた歯が支えを失ってしまい、隙間を埋めるように移動を始めるのです。
すると1年後には中切歯が生えてくるスペースが失われ、出っ歯などの歯列不正を生じさせてしまうのです。
・永久歯が萌出するタイミングを失ってしまう
生え変わる時期よりも早く羽が抜けてしまうと、大人の歯が遅れて生えてしまうことがあります。
大人の歯である永久歯が生えてくるためには、事前に乳歯からのサインを受け取らなければなりません。
それは乳歯が「もうすぐ抜け落ちますよ」というサインをすぐ下の永久歯に送られることで達成されます。
ですから、乳歯がむし歯で早期に脱落してしまうと、そうしたサインを送る存在がいなくなってしまうことから、永久歯も生えてくるタイミングを失うのです。
それが乳歯のむし歯による永久歯の萌出異常の原因です。
▼お口全体のむし歯リスクが高くなる
むし歯を放置しておくことで、お口全体のむし歯リスクが高くなってしまいます。
むし歯はむし歯菌が甘いものを分解して酸を産生することで起こる感染症です。
むし歯の歯を放置してしまうと、お口全体のむし歯菌の数が多くなってしまうため、他のはもむし歯になりやすくなってしまいます。
特に、左右の歯は影響を受けやすいので、もうすぐで生え変わる歯であっても治療が必要です。
▼永久歯の発育異常をもたらす
乳歯がむし歯になることで、下に埋まっている永久歯が形成不全を起こす場合があります。
むし歯を放置すると、やがては歯の神経が死んでしまいます。さらに、細菌感染が歯の根っこの先にまで及んで「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」を引き起こすことがあります。
乳歯の根尖性歯周炎が原因で、その下に埋まっている永久歯の石灰化不全が生じることがあります。
専門的には「ターナー歯」と呼ばれる異常で「ママとこどものはいしゃさん」では、親御さまに注意を呼び掛けている病気でもあります。
ターナー歯、生えてきた時点でもうすでにエナメル質の石灰化や形態に異常をきたしており、むし歯のリスクも高くなっています。それはお子さまの将来にとっても残念なことなので、できる限り予防するようにしましょう。
「ママとこどものはいしゃさん」では、そうした永久歯への悪影響を防止するために、乳歯のむし歯の予防や早期発見・早期治療に努めております。お困りの際は、ぜひグループ加盟院にご相談ください。
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