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神経を抜いた歯の寿命はどれくらい?

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神経を抜いた歯の寿命はどれくらい?

神経を抜いた歯の寿命はどれくらい?寿命を延ばすためには


歯の神経を抜くと、痛みを感じることがなくなります。
その一方で、安易に神経を抜くとデメリットが生じるため、よく考えて決めることが大切です。
今回は、神経の役割と神経を抜いた歯の一般的な寿命についてお伝えしていきます。

■神経を抜いた歯は寿命が短くなる


神経を抜いた歯は短命になる傾向があります。
一般的には10年ほど寿命が短くなるため、寿命が60年の歯であれば、50年になると考えてください。
歯の寿命は個人差がありますが、50~65年と言われています
人生100年時代が現実味を帯びてきた現代では、健康寿命を延ばすためにも歯を残すことが重要です。
10年の寿命の差は極めて大きいからこそ、やむを得なく神経を抜いた場合はその後のケアが大切になります。

・なぜ歯の寿命が短くなるのか?


神経を抜いた歯は痛みを感じることがなくなるため、虫歯の処置が遅れがちです。
痛みと聞くとデメリットばかりをイメージするかもしれませんが、歯の病気を予防するという意外なメリットがあります
たとえば、虫歯の痛みを自覚してから歯医者に行くという方は多いでしょう。
もし痛みをまるで感じなければ、そのまま放置して症状を進行させてしまうはずです。
たとえ痛みがゼロであっても、虫歯は進行していき、少しずつ歯を蝕んでいきます。

■歯の神経には役割がある


歯の神経は痛みを感知し、虫歯や炎症の早期発見を促す役割がありますが、実はほかにもあまり知られていない役割がいくつかあります。

・免疫機能を健全に保つ


虫歯になりやすい人がいる一方で、なりにくい人もいるものです。
後者は口腔内の免疫が高く、病原菌に負けない抵抗力を有しています。
虫歯になりやすい人は、同時に歯周病のリスクも高いと考えてください。

大人になってから歯を失うリスクは、虫歯より歯周病のほうが高いです
いつまでも健康的な口腔環境を維持し、高齢になるまで自分の歯で食事をするためには免疫力が必要になります。
ところが、歯の神経を抜いてしまうと、十分な免疫機能が発揮できなくなり、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまうのです。

・歯に必要な成分を送り届ける


丈夫で元気な歯を維持するためには、栄養と酸素の運搬が必要になります。
これらが不足してしまうと、歯は脆くなってしまうのです。
もともと歯質が強くない方が神経を抜けば、さらに弱くなります。
すると、歯が欠ける、破折するなどの可能性を高めるのです。

・自然な歯の色を保つ


象牙質の上にエナメル質が存在し、違和感のない自然な色を実現しています。
歯というのは、少し黄色みを帯びているのが普通です。
真っ白い歯に憧れる方は多いですが、あまりに白すぎると違和感が生じるでしょう。
そのため、白すぎる歯よりも、自然な色の歯のほうがいいと考える方が少なくありません。

こうした自然な歯の色を保つためには、歯にしっかりと栄養や酸素を届ける必要があります。
しかし、神経を抜いた歯はそれができなくなるため、歯の変色を促進させるのです。
神経を抜いた歯だけが、茶色や黒色に変色する事例はよくあります。

■神経を抜く最大のリスクは


やむを得なく神経を抜くしかない状況はあるものです。
その一方で、歯が脆くなるので、些細なことで歯が欠けるリスクがあると認識してください。
たとえば、以前であれば問題なく食べられた煎餅が、神経を抜いた後だと欠けや破折を招くケースがあります。

そして、歯が一部でも失われると、さらに脆くなってしまい、治療が遅れると抜歯を迫られることがあります。
歯を1本でも失うと、周辺の歯にもダメージを与えてしまうのです。
そうして2本、3本というように、立て続けに歯を失うことになりかねません。
歯というのは最初の1本が大切であるため、たとえ1本の抜歯だからと安易に考えないようにしてください。

・神経を抜いた後は歯を長持ちさせる処置を


根管治療で神経を抜くことを迫られた場合は、精密治療ができる歯科医院をおすすめします。
根管治療の成功率は、クリニックの設備と歯科医師の技術力にかかっています。
たとえば、高性能なマイクロスコープの導入、ラバーダムによる感染症の予防などが重要です。

歯科治療は安く済めば、それでいいわけではありません。
成功率をいかに高め、歯を残すかが重要になります。
どんなに安価に抑えても、歯を失ってしまっては本末転倒でしょう。

・精密治療は気長に受ける心構えを


根管治療は長期を要するため、通院回数は増え、通院期間も長期化します。
ここで大切なのは、自己判断で通院をやめないことです。
最後まで治療を受けなければ、結果的に状況の悪化、再発を招くことになりかねません。
また、定期検診も必要で、口腔環境は健全に維持できているか、歯ぎしりや食いしばりが起きていないかなどをチェックします。

■まとめ


神経を抜くと歯の弱体化は避けられないため、可能であれば神経を残したほうがいい場合があります。
「ママとこどものはいしゃさん」の加盟院では、神経を抜かない治療に関する相談も受けていますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
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