乳歯の虫歯が歯髄炎になりやすい理由
- 予防
監修歯科医師
神戸灘院
平沼 麻央 先生
虫歯というのは、進行すると「歯髄炎(しずいえん)」という歯の神経の症状が現れます。乳歯の虫歯ではこの歯髄炎へと移行しやすい傾向にあります。今回はそんな乳歯の虫歯が歯髄炎になりやすい理由と、そのリスクについてわかりやすく解説します。
▼乳歯の歯質は薄い
よくいわれていることですが、乳歯は永久歯と比べて歯質が薄いです。具体的には、エナメル質と象牙質ともに永久歯の半分しかありません。そのため、一度虫歯を発症してしまうと、あっという間に歯髄にまで到達するのです。その結果、歯髄炎へと移行していきます。
▼乳歯の歯質は粒子が小さい
乳歯の虫歯が歯髄炎へと移行しやすい理由としては、もうひとつ歯質を構成する粒子が小さいという点が挙げられます。なんだかとても難しい印象を受ける話ですが、簡単にいえば永久歯よりも乳歯の方が未成熟ということです。歯質に含まれる有機質が永久歯よりも多いため、外からの刺激を受けやすくなっています。ですから、虫歯菌が産生する酸によって溶けやすいのです。これもまた乳歯の虫歯が歯髄炎に移行しやすい理由といえます。
▼乳歯が歯髄炎になるとどうなる?
乳歯が歯髄炎になると、まずは神経を抜かなければなりません。歯髄というのは、一度虫歯菌に感染してしまうと、保存するのが難しいからです。ただ、歯髄というのは歯の頭の部分から根っこの先まで分布しており、比較的軽度であれば一部分のみ抜髄するだけで済みます。これを生活歯髄切断法といいます。やはり、歯の神経というのはとても大切な組織なので、歯質と同じように極力保存することが望ましいのです。ただし、重症度が高い場合は、全部性の歯髄炎と診断され、完全に神経を取る必要が出てきます。
▼歯髄炎を放置することのリスク
乳歯の歯髄炎を放置すると、次に生えてくる永久歯にも悪影響が及ぶことがあります。なぜなら、乳歯のすぐ下には永久歯が控えているからです。歯髄炎を治療せず放置していると、歯の根っこの先から細菌が溢れ出てきます。その結果、生じるのが「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」という歯の根っこの病気です。そこから細菌感染が永久歯へと広がったり、場合によっては萌出の遅延などを引き起こしたりします。ですから、乳歯の虫歯はできる限り重症化させないことが大切です。
▼まとめ
このように、乳歯の虫歯は歯髄炎へと移行しやすいので、早期に発見し治療を受けることが重要といえます。そのためには、「ママとこどものはいしゃさん」の加盟院で定期的なメインテナンスを受ける必要があります。やはり、親御さまだけでは、虫歯の発生や進行などを厳密にチェックすることは難しいといえます。
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